市内に3つ設けられた行政区のうち、中央区、南区には、相模川の運搬作用によって形成された、広大で平坦な相模原台地が広がっています。
国土地理院が提供するWebGIS「地理院地図」を用いて、周辺の地形をざっと見てみましょう。
この、「地表面の傾きの量を算出し、その大きさを白黒の濃淡で表現した」傾斜量図をご覧になれば一目瞭然ですが、相模原台地はほぼ平坦です。
丹沢の険しい山並みも、多摩丘陵の開発の程度も、よくわかりますね。
さて、そのような平坦な台地の真中に、鹿沼公園があります。
JR横浜線淵野辺駅南口から徒歩5分と、利便性の高い場所でありながら、園内には、緑豊かな築山、野球場にテニスコート、貨物用蒸気機関車D52の見守る交通公園もあります。無料の駐車場までありますよ。
公園の中央、白鳥の飼われている池に、市が建てた案内板がありました。
ほかにも、園内にはでいらぼっちに関する案内があります。神話の時代には、富士山を背負うような、すごい巨人がいたのですね…
ただ、過去の航空写真を見る限り、1940年代まで田畑でしたが、60年代になって池が出現し、70年代に公園整備で現在の形になったことが確認できます。
元々くぼ地ではあったものの、この池は巨人の足跡そのものではないようです(そりゃそうでしょう…)。案内板の末尾に記された、巨人伝説の「貴重な遺跡」というほどではないような気がしますね。
もっとはっきりとした、巨人の足跡はないものでしょうか?
ほぼ円形のフチの色が濃く、フチの内外が淡色ですので、巨人というより、まるでゾウの足跡のようなくぼ地ですね。
真ん中の、東大沼二丁目のくぼ地にご注目ください。
「断面図」作成機能から、円の直径は約300m、中心付近は標高98m程度、周辺は標高100m程度であることがわかりました。
くぼ地の北西には、水濠で囲われた大沼神社も鎮座しています。宅地開発以前の航空写真を確認しても、当時から濠があったようです。
雨が数日続いた後の2022年9月のある日、お参りしてきました。
くぼ地の外側の駐車場と、濠の水面には3m程度の高低差があります。
神社の清掃奉仕をされていた方に話を伺うと、昔は、水濠の周辺は田んぼで、刈り取り前の落水が流れ込んでいた、今では水が枯れているものの、雨が降ると水面が戻り、ザリガニやドジョウも出る、とのことでした。やはり、水面がないと、絵になりませんよね。
水濠からご想像かもしれません。御祭神は弁財天と市杵島姫命です。